昔むかしのことです。
タイのある村に黄金の仏陀寺と呼ばれる寺院があり、
それはそれは大きな黄金の仏像が祀られていました。
ある日、村にひとつの知らせが入ります。
「大変だ! 隣の国の軍隊が侵略してきたぞ!」
そこで村人たちは黄金の仏像を隠す策を練り、
石やコンクリートで仏像を覆うことにしました。
石仏のようにしてしまえば、軍隊には価値がなく見えるだろう。
そう考えたからです。
しばらくすると村に軍隊がやってきて、寺院を通りかかりました。
軍隊は大きな石仏を見かけましたが、石仏を奪おうともしません。
その石仏の正体が黄金だということに気づかなかったのです。
そのまま軍隊は侵略を続けました。
石仏が黄金だと気づかれないまま何年もの月日がたち、
ついに寺院や村にもそのことを覚えている人はいなくなってしまいました。
それから長い年月が経ったある日、若い仏僧が石仏の前で瞑想をしていました。
仏僧がふと顔を上げた瞬間、コンクリートのかけらが仏僧の目の前に割れ落ちます。
そして、仏像の割れた部分に何か光るものが仏僧の目にとまったのです。
彼はすぐにコンクリートの下に黄金があることに気づきました。
「仏像は黄金だ! 仏像は黄金だ!」
仏僧はそう叫びながら、仲間の僧たちがいる村に走りました。
村に戻ると仲間たちに事の経緯を話し、一緒に仏像のところに戻ります。
そして、仏僧の話が本当のことだとわかると、
みんなでコンクリートを壊し始めました。
仏像を覆っていたコンクリートを剥がしていくにつれ、
少しずつ仏像の本当の姿が見えてきます。
やがてコンクリートは全て剥がされ、黄金の仏像がその姿を現し、
本当の輝きを取り戻したのでした。